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学級新聞_92号

ESD二十四節気吉備真備天文学と暦陰陽師

学級新聞_92号

【第92号 2026/4/28 発行】
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[1] はばたけ ルリセンチ No. 91
[2] 奈良町御師(おし)コラム
[3] お知らせ

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[1] はばたけルリセンチ No. 91

[2]奈良町御師(おし)コラム

 

おばあちゃん

いまは“せいめい”やな。

 

ゆういち

えっ、おばあちゃん、今“せいめい”って……

もしかしてゲームするの?

 

おばあちゃん

え、ゲーム? なんのことやの。

 

ゆういち

だって“せいめい”って、ゲームのキャラクターとかでよく見る、あの有名な陰陽師の安倍晴明やろ?

すげえ、おばあちゃんも知ってるんや!

おばあちゃん

ふふふ、それは“晴明”さんやな。おばあちゃんが言うた“清明”さんは、暦の二十四節気(にじゅうしせっき)のことやよ。

 

ゆういち

二十四節気?

 

おばあちゃん

そう。一年を二十四に分けたうちの一つでな、草木が青々して、空気がすがすがしくなる頃を“清明”さんって言うんや。今の奈良がちょうどそんな感じやろ。

 

ゆういち

へえ……同じ“せいめい”でもちがうんや。

 

おばあちゃん

でもな、まったく関係ないわけでもないんやで。

昔の陰陽師さんらは、星を見たり、季節を読んだり、暦を作ったりしてたんや。

つまり“今がどんな時期か”を知る人やった。

天文学博士と天気予報士さんも兼ねてたんや。

 

ゆういち

じゃあ、清明って、昔の人にとっては結構大事なん?

 

おばあちゃん

大事やったとも。田んぼの準備、暮らしの段取り、お祭りの日取り。みんな、季節の変わり目を知って動いてたんやから。

 

ゆういち

それって誰が発見したん?

 

おばあちゃん

奈良では、吉備真備さんの名前がよう出てくる。奈良時代に唐へ渡って、進んだ学問を学んで帰ってきた人や。暦の知識もその一つやったと言われてる。

 

ゆういち

じゃあ、真備さんが“清明は4月何日って決めたん?

 

おばあちゃん

そこは少し違う。真備さんが持ち帰ったのは、今の日付そのものやのうて、太陽や月の動きを読んで、季節を社会の時間にする知恵やねん。自然の時間を、人が暮らせる時間に編みなおす学問やな。

 

ゆういち

自然の時間を、人の時間に……。

 

おばあちゃん

たとえば“春が来た”“そろそろ種まきや”って思うやろ。ああいうのは、ただの思いつきやなくて、自然をよく見て、みんなの暮らしにつなげる知恵やったんや。

 

ゆういち

なんか、理科と社会と生活が一緒になってるみたいやな。

 

おばあちゃん

ほんまにその通りや。せやから暦は、昔の最先端の学問やったんよ。

 

ゆういち

奈良ってそういう場所なん?

 

おばあちゃん

そう思うよ。しかもな、吉備真備さんのお墓と伝わる吉備塚が、今の奈良教育大学の中にあるんや。

 

ゆういち

え、大学の中に?

 

おばあちゃん

そう。そして奈良教育大学は今、ユネスコやESD――持続可能な開発のための教育――の大事な拠点になってる。

 

ゆういち

ESDって、未来のための勉強ってこと?

 

おばあちゃん

うん。自然を大切にすること、世界とつながること、地域の暮らしを守ること。昔の人の知恵を、今の子どもたちの学びにつなぐ教育やな。

 

ゆういち

それって、ちょっとすごいな。昔の奈良の学問が、今は世界につながってるんや。

 

おばあちゃん

そう。おばあちゃんはな、これはただの偶然やない気がするんよ。奈良時代に、世界から学んだ知恵を日本に持ち帰った吉備真備さん。その記憶が眠る場所で、今また世界につながる教育が育ってる。

ゆういち

なんか、真備さんが地下から“ちゃんとやってるか”って見てそうやな。

 

おばあちゃん

ふふふ、ほんまやな。祈るように見守ってはるかもしれへん。

 

ゆういち

じゃあ清明って、ただ春っぽい名前やなくて、昔の学問と今の未来がつながる言葉なんや。

 

おばあちゃん

そういうこと。草木が芽吹く季節やろ。学びも同じで、昔の知恵が今また芽吹いて、未来へ伸びていくんや。

ゲームの晴明さんもええけど、暦の清明さんも、なかなか奥深いやろ。

 

ゆういち

うん。次から“今は清明”って聞いたら、ぼく、季節と奈良と真備さん思い出すわ。

 

おばあちゃん

ところで蘆屋道満って知ってるか?

 

ゆういち

おばあちゃん、やっぱりゲーム好きなんや…。

 

 

[3] お知らせ

 

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コラム執筆者

川井徳子

株式会社学びの旅 代表取締役。同社の前身である奈良新しい学び旅推進協議会の立ち上げに尽力し、2020年~2025年まで実行委員長を務める。奈良を舞台にした探究型学習プログラム「奈良SDGs学び旅」を企画・開発し、商品化。教育と地域をつなぐ新しい学びの仕組みを創出した。