亀の瀬大和川紀伊半島大水害防災の日防災教育
【第99号 2026/9/15 発行】
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[1] はばたけ ルリセンチ No. 96
[2] 奈良町御師(おし)コラム
[3] お知らせ
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[1] はばたけルリセンチ No. 96

[2]奈良町御師(おし)コラム
今日は防災の日
ゆういちはニュースを見ながら言った。
ゆういち
おばあちゃん、今日は防災の日なんだって。
最近、あちこちで水害が起きているね。
おばあちゃん
そうやね。9月1日は防災の日なんよ。
奈良も昔から、水害に苦しんできたんや。
ゆういち
奈良も?
おばあちゃん
そう。奈良盆地では大和川があふれる水害があったし、十津川や吉野では大雨で山が崩れるような災害も起きてきたんよ。
ゆういち
大和川も昔はあふれたの?
おばあちゃん
もちろんや。昭和57年、1982年には大きな洪水が起きて、王寺町が水につかったんよ。
王寺駅の電車まで水につかったんや。
ゆういち
えーっ、電車まで!
おばあちゃん
奈良盆地は周りを山に囲まれているやろ。降った雨はたくさんの川から大和川へ集まるんや。
そして大阪へ流れていく途中に、「亀の瀬」という場所があるんよ。
ゆういち
カメノセ?
おばあちゃん
かわいい名前やろ。でもな、昔から大きな地すべりを何度も起こしてきた、とても怖い場所なんや。
ゆういち
地すべりが起きたらどうなるん?
おばあちゃん
大和川がせき止められるかもしれん。そうなったら、奈良盆地の方に水がたまってしまうやろ。
ゆういち
じゃあ、奈良の町が水につかるかもしれへんの?
おばあちゃん
その危険があるんや。昭和の初めには本当に大規模な地すべりが起きて、鉄道のトンネルまで被害を受けたんよ。
ゆういち
今は大丈夫なん?
おばあちゃん
そのために、ものすごい工事を続けてきたんや。山の中にトンネルを掘って、地すべりの原因になる地下水を外へ出しているんよ。
ゆういち
山の中に、水を抜くトンネルがあるん?
おばあちゃん
そうや。私たちには見えへんところで、奈良を守ってくれているんよ。
ゆういち
大和川でずっと工事しているのも、そのため?
おばあちゃん
そうなんや。川を広げたり、川底を掘ったりして、水が流れやすいようにしている。それでも全部は流せへんから、遊水地もつくっているんよ。
ゆういち
見えへんところで、たくさんの人が奈良を守ってくれているんやな。
おばあちゃん
そうなんよ。
ゆういち
どうして、そんなに工事するん?
おばあちゃん
昔、たくさんの人が苦しんだからや。
ゆういち
……そうか。
おばあちゃん
昭和28年の紀州大水害、昭和57年の大和川の洪水、平成23年の紀伊半島大水害。
奈良は何度も大きな災害を経験してきたんよ。
ゆういち
そのたびに対策を考えてきたんやな。
おばあちゃん
そうや。どうしたら次の人の命を守れるやろうって考えながら、少しずつ安全な奈良をつくってきたんやね。
ゆういち
でも、おばあちゃん。災害が起きなかったら、その人たちの仕事はあまり分からへんね。
おばあちゃん
ほんまやね。そこが防災の不思議なところなんよ。一生懸命仕事をして、うまくいった結果が「何も起きなかった」やからな。
ゆういち
それって、すごいことやな。
おばあちゃん
そうやね。何も起きない毎日は、誰かが守ってくれている毎日なんかもしれへん。
ゆういち
防災って、災害から逃げることだけやないんやね。
おばあちゃん
そうや。昔の人たちの経験を忘れずに、次の人の命を守る知恵につないでいくことなんやろうね。
ゆういち
防災の日って、そういうことを考える日なんやな。
おばあちゃん
うん。昔の人が残してくれた教訓と、今も町を守ってくれている人たちの仕事を思い出す日なんやと思うよ。
[3] お知らせ
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川井徳子
株式会社学びの旅 代表取締役。同社の前身である奈良新しい学び旅推進協議会の立ち上げに尽力し、2020年~2025年まで実行委員長を務める。奈良を舞台にした探究型学習プログラム「奈良SDGs学び旅」を企画・開発し、商品化。教育と地域をつなぐ新しい学びの仕組みを創出した。