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学級新聞詳細

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学級新聞_31号

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第31号 2023/11/28 発行
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◆目次
[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 30
[3] 実行委員長コラム
[4] 協議会としての取組について報告
[5] お知らせ

 

[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
問合せ報告
実施日 地域 区分 人数
2024/11/5 埼玉県 高校 22
2024年度 福岡県

実施報告
実施日 地域 区分 内容 人数
11/17(金) 和歌山県 中学校 SDGs講義+フィールドワーク 57
11/22(水) 広島県 中学校 オンライン講義 60

 

[2] はばたけ ルリセンチ No. 30

 

[3]実行委員長コラム
ここまで「平和を戦略的に構築する」という考え方が、いま改めて必要なのではないか、そのために徳川幕府260年の治世を捉え直すべきではないかと提案いたしました。
さらに、柳生宗矩の『兵法家伝書』に記されている無刀取りと活人剣の思想について触れました。

 

もう一つ、徳川時代のことについて考察すべきことがあります。
西洋史、特にフランス革命のような血みどろの階級闘争の歴史を学んだ者からすると徳川幕府の無血開城と大政奉還は極めて異例な出来事です。
これは世界の常識からは考えられない事態です。

 

このことは勝海舟が、西郷隆盛が偉かったとか、個人の武勇伝として語られることが多いのですが、果たしてそれだけだったのでしょうか。
ここに徳川時代に共有された「暗黙知」「暗黙の了解」が存在するのではないか、思えるのです。

 

なぜなら、黒船襲来の時に、日本は諸藩に分裂している状態でした。
二大拮抗勢力、竜虎相打つような状況にはありません。

 

それにもかかわらず、徳川将軍はさっさとその地位を降り、諸藩も日本という統一国家のアイデンティティに向かっていきました。
この統合国家「日本」というビジョンがなければ、維新は起こりえませんでした。
いったい誰がどのようにしてこのビジョンを人々、特に武士階級に与えたのでしょうか。

 

確かに、18世紀に本居宣長により「やまとごころ」に関して解説はされていますが、それが国中を統合する力を持つ書籍であれば、もっと早いタイミングで社会が倒幕に向かって動いたはずです。
黒船という外圧が現れて初めて、統合に向けて動き出しました。
その時、諸藩の政治をつかさどっていた武士階級の「日本国の統一」というビジョンはどのように共有されていたのでしょうか。

 

江戸時代の武士階級全体における情報共有手段として、「式楽」としての能楽(申楽)があります。
この能楽は数多くの暗黙知で体系化された芸術です。

 

「式楽」とは武家の儀式に用いられる芸能のことで、江戸幕府が能楽を式楽と定めたのです。
江戸城での年中行事、例えば新年最初に能の謡曲を謡う「謡初」という儀式をはじめとして、様々な行事で能が催されるようになっていきます。現在の観世流、宝生流、金春流、金剛流に繋がる大和申楽四座は江戸幕府に召し抱えられ、その後、徳川二代将軍秀忠の時代に一流と認められた喜多流がこれに加わって、扶持を受けるようになりました。

 

その結果、江戸時代の諸藩大名にとって、能楽は幕府向けの政策の一つとなり、能楽の演者が諸藩で扶持を受け、召し抱えられるようになりました。
これは、今でいう自治体でタレントさんが公務員となるかのような、あるいは「せんとくん」のようなものかもしれません。

 

「暗黙知」とは、主観的で言葉に出して説明したり、文書で記されたりしない知識のことです。
言葉にしなくても皆が理解しているさまを「暗黙の了解」といいますが、暗黙知はそれよりさらに日常として深く生活に溶け込んでいるようなことも含まれるのです。
言語化、明文化され説明可能な知識(形式知)に対し、言語化できない、または、たとえ言語化しても肝要なことを伝えられない知識のことを意味します。
前回お話しした兵法家伝書の「無刀取り」なども言葉では伝えられない実技でした。

 

さらにこれが全体的、体系的なものであった場合、その時代の「当たり前」が極端な時代変化と共に、後世の人には全く理解されずに消えてしまうことになります。
例えば、能の舞台(鏡舞台)には必ず松の木(影向の松)が描かれています。

 

検索すると一番にヒットするブログ『喜多流能楽師 粟谷明生のブログ』
「鏡板にはどうして松が描かれているのか?」2012/07/01にはhttps://blog.goo.ne.jp/googeba/e/195a35f4fe322eed4a88f985c4778fa0
「奈良の春日若宮神社のお祭りの初日、田楽や猿楽などの芸能者が鳥居の傍らにある一本の松の前で芸を披露したが、その松こそが春日明神が影向するという、まさに「影向の松」なのだ」
と書かれていますが、同時に
「神仏に守られて能を舞うという舞台装置になっているのだ。」
とも書かれています。

 

これを読んだ皆さんの感想は、
「へーそうやったん、春日大社の松なんや。」
「影向ってどんな意味、検索検索」
「春日大社ならば神は分かるが、仏はどこの仏様…?」

 

など様々でしょう。
この謎を解明すると、奈良で5月に興福寺の境内で行われる薪御能が日本における歴史的意義がどれほど大きいか見えてくるのです。

 

奈良は神仏習合の始まりの場所ですよね。
だから神の使いである鹿が興福寺・東大寺の境内を歩く。
これも奈良の人なら当たり前のことですが、それ以外の人には意味が解らないことなのです。

 

何より、奈良の薪御能の僧兵の語りに大きな意味があるということは、殆ど理解されていません。僧兵の役割は「舞台改め」です。
芝生の上で和紙を踏んで湿り気があれば公演を中止するという取り決めがありました。
かつては芝生の上で興行が行われていたためです。能だけでなく歌舞伎や様々な演劇を芝居と言いますが、この芝生の上で行われていた名残が名称として残っているのです。
興福寺の薪能は能楽だけでなく、日本の様々な演芸の原点ともいえるのです。
これが失われた暗黙知という事になります。過去の人なら誰であっても常識だったのでしょう。
能楽が式楽の地位を失って消えた暗黙知は、膨大な量なのです。
他にも私たちのよく知っている歌に、失われた暗黙知を知ることができます。
次回は、そのお話から始めることにいたしましょう。

 

[4]『日本の食の聖地巡礼 NARA』プロジェクトイベント報告と進捗

11月28日現在で、上記2件のガストロノミーディナーイベントを含む、ホテルアジール・奈良(11/20開催)、柿のプレミアムイベント(11/23開催)の4プロジェクトが終了しました。
11/30には、日本清酒発祥の地・正暦寺 紅葉ガストロノミーランチバスツアーが開催予定です。

奈良ホテル開催レポート:《開催レポ》奈良酒ガストロノミーディナーイベント@奈良ホテル(10/22開催) | 日本の食の聖地巡礼・NARA (exploring-nara.jp)

ホテル日航奈良開催レポート:《開催レポ》奈良酒ガストロノミーディナーイベント@ホテル日航奈良(11/5開催) | 日本の食の聖地巡礼・NARA (exploring-nara.jp)

[5]お知らせ
事務局からの御礼
第28号、第29号と奈良SDGs学び旅の運営サポートボランティアを募集しました。
その結果、数名の方がボランティアへ応募いただき、登録の手続きが完了しました。
ボランティアへのご協力をいただき、ありがとうございます。
引き続き、ボランティア募集は継続しております。お気軽に事務局までお問い合わせください。メッセージは、下記メールアドレスにて受付させていただきます。ボランティアへのご協力、よろしくお願いいたします。【応募先】manabi-jimukyoku@kirsite.com
学び旅学級新聞の感想を募集しています!
実行委員長のコラムや学び旅事務局の活動について、皆様のお声をお聞かせください。
メッセージは、下記メールアドレスにて受け付けております。
皆様のご応募、お待ちしております。【応募先】manabi-jimukyoku@kirsite.com

 

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協議会委員へ告知・共有希望の事柄がありましたら、原稿・写真と共に事務局までお知らせください。
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配信:奈良新しい学び旅推進協議会・事務局(公益社団法人ソーシャル・サイエンス・ラボ内)
TEL:0742-20-7807 平日9:00~18:00(年末年始を除く)
住所:〒630-8305 奈良県奈良市東紀寺町2-10-1
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