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学級新聞詳細

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学級新聞_29号

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第29号 2023/10/31 発行
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◆目次
[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 28
[3] 実行委員長コラム
[4] 『日本の食の聖地巡礼 NARA』プロジェクト開始
[5] お知らせ

 

[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
問合せ報告

実施日 地域 区分 人数
2024/04 新潟県   40
2024/10/07 東京都 中学校 114

 

実施報告

実施日 地域 区分 内容 人数
2023/10/17 広島県 中学校 SDGs講義+FW 199
2023/10/18 岐阜県 小学校 オンラインSDGs講義 57
2023/10/19 大阪府 高等学校 SDGs講義 172
2023/10/20 埼玉県 高等学校 オンラインSDGs講義 67
2023/10/24 広島県 中学校 フィールドワーク 127
2023/10/25 埼玉県 高等学校 フィールドワーク 67
2023/10/25 東京都 一般 SDGs講義+FW 17
2023/10/26 大阪府 中学校 フィールドワーク 252
2023/10/27 大阪府 中学校 SDGs講義+FW 57

 

[2] はばたけ ルリセンチ No. 28

 

[3]実行委員長コラム

前回、持続可能な開発目標(SDGs)の目標16「平和と公正をすべての人に」をテーマとして、H・キッシンジャー氏のコメントを紹介しました。
なぜキッシンジャー氏なのかという事に触れておりませんでした。

 

キッシンジャー氏は第二次世界大戦時に家族と共にドイツから米国に亡命したユダヤ人です。
そしてハーバード大学で研究者となり、ニクソン大統領の外交の補佐官として政権に入ったのでした。
日米ともに評価の低いニクソン大統領ですが、ベトナム戦争を終結させ、冷戦の構造を変える米中の和平を成し遂げた政権でした。
その立役者がキッシンジャー氏でした。これらの成果が評価され1973年ノーベル賞平和賞を受賞しました。

 

前回は、英国の「エコノミスト」誌が掲載した、H ・キッシンジャー氏へのインタビュー記事である「第三次世界大戦を防ぎ、安定した世界秩序を築くには」のなかから、米ソ冷戦時代の核の対立時代における経験に基づいた「危機管理の原則」と「道義的責任」について簡単に紹介しました。
このインタビューで大切なことは、米国外交はベトナム・イラク・アフガニスタンのような小さな国とは戦争はするが、自国の破局をもたらすような大国とは直接戦争は避けることを国家の「戦略」としていることです。

 

キッシンジャー氏のインタビューでは米中和平交渉にあたって中国側の動きについても解説があります。
文化大革命時代の混乱期には、革命を成功させた将軍が収容施設で捕らえられていました。
そのような中、中国はソビエトと国境で紛争を起こします。
困った毛沢東は、それらの将軍たちを呼び出してどのようにすべきかを聞き出すと、将軍たちは全員米国と和平を結ぶべきだと進言したのです。

 

中国人にはある程度の愛国心があり、個人として自国の制度に苦汁をなめさせられても、愛国心の方が上回るというところです。
4人の将軍の答えは、米国との国交を開くべきだというものであり、毛沢東はそれに従ったのです。
要するに、米国との折衝を始め、米国をソビエトに対抗する勢力として利用すれば、米中双方の目的は達成されるというわけです。

 

4人の将軍たちは、中国の戦略論『孫子』の言葉「故に上兵は謀を伐つ。其の次ぎは交を伐つ。」を毛沢東に進言したのでした。
この意味は、「軍事力の最高の運用法は、敵の策謀を未然に打ち破ることである。次は敵国と友好国との同盟関係を断ち切ることである。」ということです。
日本でも「敵の敵は味方」という言葉があります。まさにそれを国家の戦略として教科書通りに展開したのが米中の和平だったわけです。
キッシンジャー氏のインタビューアーには中国の戦略論『孫子』に関する知識がなかったようで、ここでは解説していません。
もちろんキッシンジャー氏にはありました。だからこの交渉は成功したのです。

 

キッシンジャー氏は、冷戦政策の再構築を意図したニクソン政権期では、研究者としてではなく「大統領の密使」として特別な任務を受けて行動しています。つまり、単なる研究者ではなく外交の実務家として、信念に基づいて戦略を実行している人だったのです。

現在、米国の陸軍戦略大学校では軍事古典の教科書として『孫子』とクラウゼヴィッツの『戦争論』の共通点と相違点を比較する講座と教科書があります。

米国では一部の研究者だけでなく、陸軍の将校全員が欧米の戦争論の教科書だけでなく東洋の戦争論『孫子』を教科書として学んでいることが分かります。

 

この教科書は日本でも『孫子とクラウゼヴィッツ』¹⁾で読むことができます。
日本語訳のこの本は両書の違いが「戦わずして勝つ(武力行使は最後の手段)」を除いて殆どないことを強調しています。
孫子の「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。」は戦争論というより、平和こそが最も重要であり、そのためには謀略を惜しむな、という解説であると考えます。もちろん、クラウゼヴィッツも「外交は戦争の延長線上にある」と見なしていました。
しかし、孫子では戦いをさけるための諜報と外交こそが重要と考えていたと思います。米中和平とはまさにその一手でした。
だからこそ、中国共産党の将軍の逸話が米国に流れてくるわけです。

 

しかし、今回のロシアによるウクライナ侵攻を見る時、両書には大きな違いが存在すると思います。
プーチン大統領やロシアの将軍はクラウゼヴィッツの『戦争論』は読んでいるでしょう。そして戦争のセオリー、武力をもって圧倒するという当初の戦略を立てたと考えられます。
一方で『孫子』の「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。」という精神は全く存在しないといえるでしょう。

 

プーチン大統領を見るたびに、信長の「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」ということわざを思い起こします。
のちの人が、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の性格を表すことわざとして、信長のそれと秀吉の「鳴かぬなら鳴かして見せようホトトギス」と家康の「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」を比較したものです。戦略の違いを端的にかつ歴史事象と照らし合わせて、極めて分かりやすく表現していると感じます。

米国のキッシンジャー氏が冷戦時にとった行動こそ家康型の「鳴くまで待つ」ことだったからです。

ソ連崩壊まで待った結果は、世界に平和と安定をもたらしたように見えました。

 

その後、米国では家康の戦略をより深く研究しています。
2003年に出版された『The Life‐giving Sword(活人剣) 』²⁾は徳川幕府大目付であり将軍指南役でもあった奈良出身の武将、柳生宗矩の『兵法家伝書』の英訳です。
徳川幕府270年の戦乱のない時代は、世界が今まさに望むところでしょう。
ホトトギスを鳴くまで待った家康が、次世代の将軍に平和の維持を考えさせるために指南役と指名した人物の秘伝の書物でもありました。

 

これこそ、奈良が誇るべき平和のための書物の一つかもしれません。
次回は、宗矩が奈良で平和を語ることができたことを踏まえて、現代のわれわれが平和を語る意味についてもう少し考えてみたいと思います。

参考文献一覧
1) マイケル I.ハンデル (著), 杉之尾 宜生 (翻訳), 西田 陽一 (翻訳). 孫子とクラウゼヴィッ
ツ: 米陸軍戦略大学校テキスト.日経ビジネス人文庫, 2017, 279p.
2) 柳生宗矩 (著), ウィリアム・スコット・ウィルソン (著).英文版 兵法家伝書 - The Life‐
giving Sword.講談社,2003,191p.

 

[4] 『日本の食の聖地巡礼 NARA』プロジェクト開始
日本が誇る食文化・和食。そのルーツが奈良にあります。和食は美味しく健康的であるだけでなく、五感を通じて季節の移ろいといった自然を感じられる我が国が誇る食の文化です。
日本の食のルーツを知り、文化を体験できるガストロノミーツーリズムが「日本の食の聖地巡礼・NARA」です。
世界中の方に、奈良に息づく和食のルーツに触れていただき、そして世界中の方と和食の奥深さを共有できる多彩なツアープログラムが10/22(日)の奈良ホテルでの奈良酒ガストロノミーディナーを皮切りに始まりました。
最新情報・ご予約は下記URLよりお願いいたします。
公式サイト:日本の食の聖地巡礼・NARA | 日本の食のルーツ・DNAは奈良にあり (exploring-nara.jp)

 

[5]お知らせ
事務局からのSOS ! 奈良SDGs学び旅の運営サポートボランティアを募集しています!
事務局では、ただいま奈良SDGs学び旅の運営をお手伝いしていただけるボランティアを募集しております。初めての方でも事務局員が丁寧に説明・指導させていただきます。観光業・旅行業界に関心のある学生さん、主婦の方などまずはご登録ください。

お気軽に事務局までお問い合わせください。 メッセージは、下記メールアドレスにて受け付けております。 ボランティアへのご協力、よろしくお願い致します。

【応募先】manabi-jimukyoku@kirsite.com

 

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