SDGsクマ中山間地域山林開発気候変動獣害緩衝地帯
【第81号 2025/11/25 発行】
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[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 80
[3] 当社代表取締役によるコラム
[4] お知らせ
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[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
●問合せ報告
実施日2027年度 宮城県 高校 130人
実施日2027年度 宮城県 不明 不明
●実施報告
実施日2025/11/13 滋賀県 小学校 東大寺コースF/W 53人
実施日2025/11/17 青森県 高校 オンライン講義 76人
[2] はばたけルリセンチ No. 80

[3]当社代表取締役によるコラム
クマに関するニュースをこれほど多く目にするのは、私にとって初めての経験です。
それだけでなく、奈良公園や京都南にクマが出たなどという話は両親から聞いたこともありません。
親から聞いた野生動物の話は、せいぜいキツネとタヌキといった野生の小動物が人間をだます、といった昔話程度でした。
私は、クマは吉野や大台ヶ原といった山深いところにしか生息していないと信じて生きてきました。
それ故、今年のクマ騒ぎは人生で初めての経験でした。
今年のクマ被害は深刻です。4月から11月現在までに人身被害は全国で約170〜200件に上り、13人が死亡、170人以上が負傷しています。これは過去最多の記録です。
特に東北地方(秋田、岩手、宮城など)や北海道、長野、福井などで被害が深刻で、従来の山深い地域を超えて市街地や公園、大学キャンパス、銀行、スーパー駐車場、さらには国道上での出没が報告されています。
このクマ被害、実は突然ではなく3年前にも騒がれていました。ただし、昨年少し落ち着いたため、今年は改めて大パニックとなったのです。
専門家によると、クマの獣害の原因には複数の要因が絡んでいます
①餌不足と気候変動: 秋のクマは冬眠前に大量の餌を必要としますが、今年はドングリなどの自然食が不作でした。加えて、異常気象でクマの行動範囲が広がり、人間界に近づきやすくなっています。
②クマの個体数増加: 過去の保護政策が功を奏し、クマの数が急増しました。一方で、人間側の山林開発や太陽光パネル設置が、生息地を圧迫している可能性も指摘されています。
③人間活動の拡大: 都市部近くの山林減少や、観光・農業での果実放置がクマを引き寄せやすい状況を生んでいます。たとえば、柿の収穫代行サービスが登場するほどです。
クマに気を取られがちですが、今年はイノシシの害も拡大しているようです。
前々回、鹿の獣害対策として毎年70万頭が駆られている話をしました。
つまり、日本中、野生動物が跋扈している状況なのです。
かつて、都市部と野生生物がすむ自然の領域との緩衝地帯として「中山間地域」と呼ばれる村や町がありました。
山間地域は、都市部と深い山岳地(奥山)の間に位置し、農林業や日常的な人間活動(草刈り、伐採、狩猟など)が野生動物の接近を抑えていました。これにより、クマやイノシシは人里に近づきにくく、境界が明確でした。
しかし、この中山間地域では、少子高齢化と都市部への人口流出が加速し、住民数が急減しました。これにより、耕作放棄地が増え、里山が森林化・藪化。結果として、野生動物の生息域が拡大し、都市部との距離が実質的に縮小しています。
これが、都市部にいきなりクマが出現する原因となっています。
少子高齢化は日本のどこでも起きていますが、中山間地域の急速な衰退には別の要因もあります。
遠因として、平成の大合併が考えられます。この合併の結果、3200あった地方自治体は1700にまで減少しました。
これは財政難や行政効率化を目的としたものでしたが、地方自治体の広域化を推進しました。中山間地域では、小規模町村が大規模市に吸収されるケースが多く、結果として行政の中心が都市部寄りになり、周辺部のサービスが相対的に低下したのです。
流れとしてはこうです。
合併により旧町村の役場が支所化・廃止され、安定した公務員雇用が減少し、Uターンや若年層の定着が難しくなりました。これが人口流出を加速させたのです。中山間地域で特に顕著でした。
これまで中山間地域を支えていた自治体が消え、都市に吸収され、住民の移動が簡単となったというわけです。
クマとイノシシの問題もドングリの不作やや個体数の激増にとらわれ、自然環境の要因にばかり目が行きがちです。
しかし、クマが絶滅危惧種となった地域を除いて、全国に広がるこの問題は、自然と人間の領域に存在した「中間領域」の消滅と受け止めるのが重要ではないでしょうか。
その原因は何か。
小さな自治体が存在することに、実は大きな意義があったのではないか。
それを中央主導の官僚的判断で統合することで起きたことは何か。
SDGsの視点で、平成の大合併を振り返るべき時代が来たように感じています。
[4]お知らせ
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代表取締役 川井徳子
株式会社学びの旅 代表取締役。同社の前身である奈良新しい学び旅推進協議会の立ち上げに尽力し、2020年~2025年まで実行委員長を務める。奈良を舞台にした探究型学習プログラム「奈良SDGs学び旅」を企画・開発し、商品化。教育と地域をつなぐ新しい学びの仕組みを創出した。