SDGsニホンジカ人工林奈良奈良公園殺処分鹿
【第76号 2025/9/16 発行】
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[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 75
[3] 当社代表取締役によるコラム
[4] お知らせ
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[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
●問合せ報告
実施日2027/5/12 石川県 中学校 134人
実施日2027/2/12 福岡県 中学校 124人
●実施報告
[2] はばたけルリセンチ No. 75

[3]当社代表取締役によるコラム
日本の森はいま、大きな転換点に立たされている。戦後に一斉に植えられたスギやヒノキの人工林は国土の約4割を占め、そのうち6割がすでに50年を超える高齢期に入っている。更新のタイミングを迎えたこれらの森には、次の半世紀に向けて「混ざる森」──多様な樹種が共存し、花粉媒介者や土壌動物が戻れる原生林に近い構造への回復が求められている。
しかし、日本全国の森でこの理想の実現を阻んでいる最大の要因が「シカ」である。自然植生に影響が出ないとされる密度は3〜5頭/km²。これを超えると広葉樹の若木が食べ尽くされ、森の更新が不可能になる。実際、全国各地でシカの過密が深刻化しており、令和5年度には約72万5千頭ものニホンジカが捕獲された。これは単なる数字ではない。72万頭の命が、森の再生のために犠牲になったという事実である。
しかも、そのうち食肉などに活用されたのはわずか2割程度。残りの多くは資源化されることなく殺処分されている。命を無駄にしない仕組みづくりと、そもそもの密度を適正に保つ管理体制が、今こそ求められている。
一方で、奈良公園は全国の状況とは異なる特別なケースを示している。660ヘクタールの園内には、2025年の調査で1,465頭のシカが確認された。密度に換算すると、実に約222頭/km²──全国の目安の何十倍にも達する。奈良公園のシカは天然記念物として保護されており、殺処分されることはない。観光資源としての価値も高く、地域の文化や歴史と深く結びついている。
しかし、その代償は大きい。林床では若木が育たず、森にできた「ギャップ(樹木が倒れた跡地や光の差し込む空間)」が自然に閉じることなく残り続けている。さらに、シカが食べない外来種のナンキンハゼや常緑針葉樹ナギが勢力を広げ、春日山原始林の相貌を変えつつあるという学術報告もある。守るべきものと、変わりゆくもの。その狭間で、奈良公園の森は静かに悲鳴を上げている。
日本全国では72万頭のシカが殺され、奈良公園では保護される。この対比は単なる地域差ではない。私たちが「命」と「自然」をどう捉えるか、その価値観の揺らぎを映している。森を守るために命を奪うのか。命を守るために森を変えるのか。その問いに、私たちはどう向き合うべきなのか。
森の未来は、鹿の未来でもある。そしてそれは、私たち自身の未来でもある。
[4]お知らせ
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代表取締役 川井徳子
株式会社学びの旅 代表取締役。同社の前身である奈良新しい学び旅推進協議会の立ち上げに尽力し、2020年~2025年まで実行委員長を務める。奈良を舞台にした探究型学習プログラム「奈良SDGs学び旅」を企画・開発し、商品化。教育と地域をつなぐ新しい学びの仕組みを創出した。