【第70号 2025/6/10 発行】
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[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 69
[3] 実行委員長コラム
[4] お知らせ
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[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
●問合せ報告
実施日不明 長崎県 区分不明 100人
実施日2025/9/24 静岡県 中学校 32人
実施日2025/9/26 沖縄県 一般団体 35人
●実施報告
実施日2025/5/30 奈良県 中学校 講義+3コースF/W 103人
[2] はばたけルリセンチ No. 69
[3]実行委員長コラム
3月13日、東大寺で修二会(お水取り)が終わるころ、春日大社では「春日祭」が執り行われます。
皆様、ご存じでしょうか。
世界最古の印刷物は、どこの国の何か——。
歴史の教科書などでは「グーテンベルクの活版印刷」が有名ですね。
この印刷技術の発明は、ヨーロッパにおける文芸復興(ルネサンス)、宗教改革、そして近世社会の到来に大きく貢献しました。ルネサンス三大発明の一つにも数えられています。
グーテンベルクの活版印刷は、知識の普及を促し、文芸復興を推進し、宗教改革を後押しし、社会の近代化に拍車をかけたといわれています。
活版印刷によって、それまで一部の人々にしか伝わっていなかった知識が、印刷という手段によって多くの人々に広まっていったのです。
この発明は1450年頃、今からおよそ650年前の出来事です。
最近話題の漫画『チ。―地球の運動について―』(魚豊/小学館)でも、こうした知識の伝播と宗教弾圧が描かれています。
作中では、暗黒の魔女狩り時代において、手書きの文書だった「知識」が印刷され、広く伝えられようとする過程が印象的に表現されています。
まさに印刷と知の解放の物語です。
さて、最初の話に戻りますが、実は「世界最古の印刷物」は、日本、しかもここ奈良で作られたのです。
その名も「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとうだらに)」と呼ばれています。
これは木製の小塔を百万基製作し、その中に経文である陀羅尼(仏教の呪文のような短い経典)を納めたものです。
天平時代の764年、称徳天皇が国家の安泰を願って製作を命じたとされ、
「大安寺、元興寺、弘福寺、薬師寺、四天王寺、興福寺、法隆寺、崇福寺、東大寺、西大寺」に奉納されました。
グーテンベルクの活版印刷よりも、なんと700年も前のことです。
これは驚くべきことです。
百万枚の紙を漉き、印刷し、百万基の木塔を作り、その一つひとつに経文を納める——
途方もない手間と労力がかかったことは想像に難くありません。多くの人々が関わった国家的大事業だったのです。
残念ながら、法隆寺を除くすべての寺院では、戦乱や災害による火災で塔が失われてしまいました。
現在、現存するものは法隆寺に収められたものであり、それも約4万数千基しか残っていないとされています。
宗教的な印刷物が「世界最古」であったという点は、グーテンベルクの聖書と似ています。
しかしながら、百万枚も印刷されたお経は、人々の知識普及に活用されることはありませんでした。
それは塔の中に封じられていたからです。
時代が早すぎたのか、この偉大な印刷事業は、知識の伝播や社会変革を促すには至りませんでした。
とはいえ、この印刷物は、世界最古の木造建築である法隆寺の中で、まるでタイムカプセルのように今なお守り続けられています。
未来へと語り継がれる「印刷の原点」。これからも、ずっと大切に残していきたいですね。
[4]お知らせ
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