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学級新聞詳細

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NEWS PAPER DETAIL

学級新聞_48号

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【第48号 2024/7/30 発行】
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[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 47
[3] 実行委員長コラム
[4] お知らせ

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[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
●問合せ報告
・2024年11月 滋賀県 小学校 100人
●実施報告
・2024/7/17 東京都 中学校 東大寺フィールドワーク 105人

 

 

[2] はばたけ ルリセンチ No.47
イメージ

 

 

[3]実行委員長コラム
●SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」とは?

SDGsの11番は「住み続けられるまちづくり」について考えることが求められています。日本で最も古い都・奈良にとっても重要なテーマですね。
例えば 11-1は下記のような内容です。

「2030年までに、すべての人が、住むのに十分で安全な家に、安い値段で住むことができ、基本的なサービスが使えるようにし、都市の貧しい人びとが住む地域(スラム)の状況をよくする。」
出典:公益財団法人に本ユニセフ協会
11.住み続けられるまちづくりを | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会) (unicef.or.jp)

世界では、増え続ける都市人口に伴うインフラの整備や貧困問題が、まちづくりの大きなテーマになっていることがわかりますね。
次の11-2では都市交通の重要性を訴えています。
「2030年までに、女性や子ども、障害のある人、お年寄りなど、弱い立場にある人びとが必要としていることを特によく考え、公共の交通手段を広げるなどして、すべての 人が、安い値段で、安全に、持続可能な交通手段を使えるようにする。」
出典:公益財団法人に本ユニセフ協会
11.住み続けられるまちづくりを | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会) (unicef.or.jp)

一方日本では、人口が減っていく中でどのようにして経済やインフラ等を支えるのかを考えなくてはいけません。世界の課題とは全く別の軸で、ものごとを考える必要があるのです。
そこで今回は、奈良市の交通政策を例に、日本の「まちづくり」について考えてみたいと思います。
奈良市は条坊制以来の狭隘な通りから自動車社会に対応する道路網への転換をめざして、市街地の幹線道路敷設の一環として高度成長期にやすらぎの道を整備しました。奈良阪町・三条通り間の工事がまず完了し、1969年に残る三条通り・八軒町東交差点間が開通しました。
出展:weblio辞典
やすらぎの道 - やすらぎの道の概要 - わかりやすく解説 Weblio辞書

条坊制以来って、千年前から都市だった奈良らしい話題ですよね。これまで、やすらぎの道は八軒町で市内循環道路と合流し、そこで突然終わっていました。その先に万葉まほろば線こと、JR桜井線と京終駅があるからでした。その関係で、長年にわたり奈良市内に渋滞が多く発生していました。
奈良市は、混雑緩和のために2011年から合流地点の八軒町交差点から先を抜いて、やすらぎの道を延長するという事業に取り組みました。長期にわたって続けられていた大規模工事が終わり、アンダーパス道路が開通したのは、2022年です。実に、53年ぶりにやすらぎの道が延長したのです。新聞報道でも大々的に流されました。
参照:朝日新聞DIGITAL
「やすらぎの道」を延伸、アンダーパス開通 奈良市 [奈良県]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

アンダーパスを含む工事区間は長さ409メートル、幅26メートル。車道は片側1車線で、自転車・歩行者用の道も整備された。アンダーパスの北側は近鉄奈良駅方面につながっており、京終町周辺から中心市街地に向かう県道の混雑緩和が期待できるという。
出展:毎日新聞
六条奈良阪線・アンダーパス開通式 市長ら参加「混雑緩和に期待」 奈良 /奈良 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

アンダーパスとは、電車の線路と道路が交差する踏切をさけて、車が線路下を通り抜ける道路設計のことです。地下に道路を通すための大規模土木工事事業が必要となります。
しかも、上を鉄道が通るので、堅牢な支えが必要です。そのため10年以上もかかる難工事となりました。
やがて、工事が終わってしばらく経ち、近くに住む親戚の家に徒歩で行った際、「?」と思いました。
「なんて遠回りをしないといけないのだろう。」
アンダーパス道路は、車にとっては運転しやすい道かもしれませんが、踏切をつけないために歩行者と自転車は以前なら横断できた道も迂回路を利用して遠回りしなくてはならない道路設計になっています。歩く人や自転車に負担をかけるまちづくりに、大きく疑問を持ちました。
「こんな面倒な道路を作る意味があったのだろうか?」
工事代金はいったいいくらだろう?何十億、いや百億かかったかも。どうして50年前の1969年に踏み切り工事を行わなかったのだろう、と不信感が募りました。
JR京終駅の時刻表をみればわかりますが、万葉まほろば線は一時間に一本しか列車が走らない鉄道です。多くても1時間に2本です。近鉄大和西大寺駅の「開かずの踏切」とは全く違う運行状況にあります。
参照:JRおでかけネット
駅時刻表 | JRおでかけネット (jr-odekake.net)

踏切の遮断時間については『警報機が鳴り出してから遮断棹が下がり出すまでの時間は5秒以上10秒以下、警報機が鳴り出してから遮断棹が下がり切るまでの時間は15秒、遮断棹が下がり切ってから列車が到達するまでの時間は20秒』という基準を国土交通省が定めています。
これに列車が通り過ぎる時間を足すと、踏切による遮断の合計時間がわかります。まほろば線の車両は1もしくは2両ですので、10~20秒くらいです。最大で110秒となります。
反対方向も含め1時間のうち踏切によって道路が遮断される時間は220秒、1時間に3分半くらいなのです。
仮に踏切であっても、渋滞の原因となるような事態ではないと思います。
1時間に3分半くらいであれば、圧倒的に交差点での信号待ちのほうが長いですよね。それよりもずっと短い踏切での待ち時間解消のために、このアンダーパス道路をつくる大規模工事が行われたのでした。
なによりもこのアンダーパス道路の先には新しい突き当りが出現したのです。なんのために、この道路は作られたのか、まったく意味が分かりません。工事費を用地買収にかけて、やすらぎの道をより延長する方向にむかう。それがよほど重要だったのに。

さらに問題があります。
全国のJRでは、廃線がいろいろと検討されているからです。
北海道では分割民営化前の4000kmの線路は2200kmとなりました。今も、自治体と協議が続いています。
例えば、JR北海道では2016年7月、「単独では維持が困難な線区」を公表し、沿線の自治体などと今後のあり方について協議を始めました。
その結果、函館線:長万部駅~小樽駅については令和3年4月、北海道新幹線並行在来線対策協議会で北海道が収支試算しました。その後、JRと沿線自治体がバス転換で合意に進みました。
万葉まほろば線(桜井線)は、奈良市を起点とした大和高田駅までの約30kmの路線で、天理や桜井・橿原・大和高田を繋ぎます。都市部ばかりと感じますが、どの都市も人口減少が激しい地域なのです。
参照:奈良県公式ホームページ
https://www.pref.nara.jp/secure/134464/tihousousei.pdf

ピーク時に145万人(1999年)だった奈良県の人口も、今では129万人(2023年)です。毎年約7,000の人口減少が起こり、23年間で16万人が減少しました。15年後の2040年の人口は、23万人減少し106万人になると予測されています。
今後は毎年15.3万人、今までの倍以上のスピードで人口が減少していきます。
奈良市23%、天理市25%、桜井市24%、大和高田市35%の人口減少が起きるということです。果たして万葉まほろば線は維持できるのでしょうか。少なくとも、減便は免れないでしょう。
そして、このままだと2040年以降も人口は減り続けます。2060年には、人口は84万人と予測されています。ピーク時の54%にすぎません。
つまり、今後30年、50年という長期的視野を持つと、奈良県の東南部の鉄道維持は厳しいとも言えます。何より、自動運転のタクシーやバスが走る時代になるかもしれません。
仮に廃線となったとしたら、つまり先ほどお話ししたやすらぎの道アンダーパス道路のような、電車が走らない線路の下を車が走り続けるということが起きます。作った道路のメンテナンスに大きな費用も掛かります。
そして、この道路設計の結果、歩く人々の負担は解消されないのです。都市部に人口が集中し、地方部では人口減少するこの国で、住み続けられるまちづくりを総点検するには、SDGsの視点が極めて大切です。
SDGsを知ること、それをまちづくりにいかすこと。
さらに、SDGsを推進するためのESD(持続可能な開発のための教育)は子供たちだけのものではなく、今を生きるすべての人が理解する必要があります。
ぜひ、皆さんで考える機会を持ちませんか。

 

 

[4]お知らせ
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皆様のご応募、お待ちしております。
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配信:奈良新しい学び旅推進協議会・事務局
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