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学級新聞詳細

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NEWS PAPER DETAIL

学級新聞_39号

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第39号 2024/3/26 発行
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[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 38
[3] 実行委員長コラム
[4] お知らせ

 

[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
問合せ報告

実施日 地域 区分 人数 備考
2024/9/27 兵庫県 中学校 180 リピーター
2024/12/11 宮城県 高校 18  
2025/10/26 北海道 高校 200  

 

実施報告

実施日 地域 区分 内容 人数
2024/3/19 福井県 中学校 オンライン講義 217

 

 

[2] はばたけ ルリセンチ No. 38

 

[3]実行委員長コラム
3月も終わりに近づき、新年度が始まる頃となりました。
桜が咲きほこる一年で最も美しい季節ですね。

 

卒業式を迎えて、はかまや着物姿の若者に、思わず見とれてしまいます。
「萌え」というのでしょうか。青春の一ページとしてとても大切な時間だと考えます。

 

ところで、ある時着物レンタルのお店で「和装を世界無形文化遺産に!」と表記されているのをみて、びっくりしました。
そういえば、和食器のカタログにも「和食」ユネスコ世界無形文化遺産と書いてあったりします。
多くの方が間違えるのですが、世界文化遺産と無形文化遺産は違うものです。

 

■世界文化遺産
ユネスコでは世界遺産条約で、文化遺産と自然遺産と複合遺産を定めています。
これは文化遺産及び自然遺産を全人類のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的としており、対象は形ある不動産を遺産として定める仕組みなのです。
それを支えているのが、国際機関ユネスコと各国間で互いに結ぶ国際条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」なのです。
(Convention Concerning the Protection of the World Cultural and Natural Heritage)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/world/isan_1.html

 

1972年にユネスコ総会において採択された、ずいぶんと古い歴史ある条約なんですね。

日本国内では登録にあたって自治体の文化財担当者が走り回るので気が付きませんが、この制度の紹介は外務省が行っていますね。
これは条約、つまり国際間で定められた法律と制度だからです。

 

■ユネスコ無形文化遺産
一方、無形文化遺産は「無形文化遺産の保護に関する条約」という別の条約で保護されています
(Convention for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/kyoryoku/unesco/isan/mukei/jyoyaku_gaiyo.html

 

2003年成立、21世紀に入ってから作られた「形のない文化」を保護しようとする新しい条約なんです。
「ユネスコが関わっているから世界遺産だ!」と考えがちですが、条約の内容とめざすところが全く違うんです。

 

「伝統的舞踊、音楽、演劇、工芸技術、祭礼等の無形文化遺産を消失の危機から保護し、次世代へ伝えていくための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とする。」と外務省のホームページには書いてありますが、条約の詳細を見てみますと、下記のとおりと定められています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty159_5a.pdf

 

無形文化遺産の保護に関する条約 無形文化遺産の保護に関する条約
第二条2
1に定義する「無形文化遺産」は、特に、次の分野において明示される。
(a)口承による伝統及び表現(無形文化遺産の伝達手段としての言語を含む。)
(b)芸能
(c)社会的慣習、儀式及び祭礼行事
(d)自然及び万物に関する知識及び慣習
(e)伝統工芸技術

 

「無形文化遺産の伝達手段としての言語を含む」とありますが、世界では、すでに1万はあった言語が6000にまで減ったといわれています。
日本でも琉球語やアイヌ語は危機の状況にあります。また、すでに完全に消えそうになっているものに「御所ことば」もありますね。言語は日常生活の根幹であり、これが失われるのは一つの民族が消えてしまうことを意味するといってもよいかもしれません。

また「(d)自然及び万物に関する知識及び慣習」は、人々が何千年も地域の環境と共存を可能にしてきたライフスタイルのことなのでSDGsの視点で見るととても重要な無形文化遺産なのです。

 

以前にお話しした、タンザニアのデラシャ、酒が主食であるケニアの民族の食文化もまさしく無形文化遺産です。めずらしい食文化というだけでなく、地域の農耕と環境との両立をはかるぎりぎりのところで存続している貴重な無形文化遺産だといえるでしょう。
タンザニアの生活水準が向上し、他地域から珍しい食品が流入するとこの地域の食材を生かし続ける伝統は消えてしまうかもしれません。
一方で、子供時代からアルコールを飲み続けるこの地の人々の健康診断や平均余命の疫学調査は、きわめて貴重な研究となると考えます。お酒メーカーなどは自腹きってでも、彼らの疫学調査を研究すべきと思います。こういった多様な文化が存在することが、人類そのものについて学べる重要な機会となるでしょう。

 

面白い報告として、米国の環境森林学の教授がネイティブインディアンと苔の関係を19世紀のフィールドワークの文書から研究し、苔が「おむつや女性の生理用ナプキン」として使われていたことをレポートしたものがあります。アマゾンなどに今も存在する裸族と言われる人々の暮らしには、このような知恵がまだ潜んでいるはずです。
(ロビン・ウォール・キマラー, コケの自然誌, 築地書館, 2021年)

 

100年前までは、どこでもナプキンは紙、おむつは布でした。現代のおむつやナプキンは石油を原料としたポリマーでできています。ボリマーの世界最大メーカーは産油国でもない日本企業です。 EUでは、このポリマーの原料を、一部だけでも植物由来のものへ変えようと仕組み化しています。

無形文化遺産条約は、グローバル化の進展とともに、世界の人々のライフスタイルが西欧化、均一化に向かっていくことを防ぐための取り組みにもなっています。それは環境に優しいライフスタイルの見直しを図るための素晴らしい仕組みにもつながっていくでしょう。

消えそうになる芸能や祭礼にも人間の智慧は生きていると思われます。
なぜなら、地域で何百年も受け継がれ、人々がその環境の中で生きていくための物語でもあるからです。

 

桜の下で酒を飲んで歌う風習~花見~は日本独特の文化ですが、前述した、無形文化遺産の保護に関する条約 無形文化遺産の保護に関する条約の第二条2からすると、ユネスコ無形文化遺産として登録されることがあるかも!と夢想いたしております。今でも世界で注目される日本の春ですが、
なぜ、日本人は花見が好きなのか、を説明できる人は少なそうです。
ということで次回以降も無形文化遺産について、もう少しじっくりと考えていきたいと思います。

[4]お知らでは。\せ

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