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学級新聞詳細

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NEWS PAPER DETAIL

学級新聞_32号

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第32号 2023/12/13 発行
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[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 31
[3] 実行委員長コラム
[4] 「奈良SDGs学び旅」のツアーの様子が、環境教育・ESD実践動画100選に選ばれました。
[5] お知らせ

 

[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
問合せ報告

実施日 地域 区分 人数
2024/11/5 埼玉県 高校 20
2024/9/3 島根県 中学校 56
2024 東京都 高校

 

実施報告

実施日 地域 区分 内容 人数
2023/12/5 広島県 中学校 フィールドワーク 58
2023/12/5 広島県 中学校 講義+フィールドワーク 69
2023/12/5 静岡県 高校 フィールドワーク 39
2023/12/6 長崎県 高校 講義+フィールドワーク 226

 

 

[2] はばたけ ルリセンチ No. 31

 

[3]実行委員長コラム

前回、能楽が式楽だった時代について少し触れました。
それが、日本の文化にどのような役割を果たしたか、また、江戸から明治へと変わる近代化の中で、共に私たちの歴史と文化から能に対する暗黙知がすっかり消えたのではないかというお話をしました。今回お話しするのは、興福寺の薪御能の持っていた意味についてです。それが江戸時代にはどのように行われていたか、その結果何がもたらされていたかというものです。

 

村井古道は1681年(天和元年)に奈良市で生まれた医師ですが、郷土の町名由来や社寺の縁起や行事を様々書き残してくれました。
その一つが『南都年中行事』(村井古道 著、喜多野徳俊 編、綜芸舎、1979年)で、ここには薪御能について詳しく記されています。

 

二月部、朔日(1日)に「南大門薪御能造営事業」が始まります。
5日には「春日大宮舞殿咒師走」
7日には「南大門薪御能執行」
と続きます。
この朔日から二週間ほどの期間、全国の能楽の演者が奈良にやってくるのです。
同時に、奈良町の代官所の与力・同心などが幕府の正式の警備として「外護」にあたります。
その様子が絵図で示されています。
『南都年中行事』(村井古道 著、喜多野徳俊 編、綜芸舎、1979年、p.74図2より)

 

 

徳川幕府から開催のための資金提供や演目へのお達しもあったかもしれません。
これが「式楽」であるということでしょう。
村井古道は、
『元要記』、に薪能の由来は清和天皇・貞観11年、興福寺金堂上に三十二相の華を飾り、西金堂上には二十八相の香華をよそおって華供会の修行があった。夜になると薪をたくさん篝火に燃やして神翁が祝儀を奏した。これは四海安平の祭りである。
と解説しています。

貞観11年とは、世界に大きな衝撃を与えた東日本大震災と大津波と同規模で、東北地方に災害が起きた年でもありました。
この祭りは、無病息災を祈る祭りとして長く受け継がれました。
そして室町時代の将軍足利義政公が観世音阿弥に仰せられて猿楽(能楽)を演じられることとなったのです。
この薪御能は四座が合流して作り上げることがポイントだと思います。
全国から皆で集まって、同じ舞台を共にし、一年の様子、その喜びと悲しみを伝え合う。
飢饉や地震、台風など災害にあった地域もあるでしょう。同時に豊作でわいた地域もあるはずです。
殿様が交代された地域もあるでしょう。
その後の一年を祈り合う日が薪御能の本来の姿だったのだと思います。

 

実は同じ月の朔日から14日まで、「東大寺二月堂行法」が行われています。
つまり「お水取り」と「薪御能」は修二会の時期に南都で開催される二大祭礼だったのです。
当時は太陽太陰暦でしたので、毎月1日が新月となります。
ちなみに、2024年を旧暦で見てみると2月の朔日は今年では3月10日にあたります。

さて「式楽」である能楽の影響は、歴史においてどういう意味や出来事をもたらしたでしょう。

 

例えば、日本の国家「君が代」。
この元歌である、「わが君は千世にやちよに さゞれ石の巌(いわお)となりて苔(こけ)のむすまで」は、
古今和歌集の詠み人しらずの御祝儀の歌、と共産党の機関紙『赤旗』では解説されています。

 

さて、日本中の人が古今和歌集に通じていたわけでもないのに、この古い和歌を歌詞にすることに明治の人が誰も反対しなかった理由に、「能楽」が果たした役割は大きかったでしょう。
この歌は正月やめでたいことで演じられる能の演目「老松」のメインフレーズなのです。
能楽の演者はもちろんのこと、江戸時代の武士階級であれば「老松」のセリフは教養として知っていて当たり前だったのです。

 

現代を生きる私たちは、国歌がとどのように生まれたかについて、殆ど理解できない状況にいます。
明治維新により、社会が意図的に、急激に変えられたことで、「全体的、体系的なものであった場合、その時代の「当たり前」が大きな時代変化と共にのち人には全く理解されずに消える」という影響は大きいと感じています。

 

中でも能楽(申楽)の伝書である世阿弥の『風姿花伝』の神儀編の内容は重要です。
この章は超簡易な芸能史の形をとって、能楽の起源やその意義について語られています。

 

⑴ 申楽の申という字は神から来ており、もともとは、天照大神が天の岩屋に隠れた際、天鈿女命がその前で踊り、大神を誘いだす踊りを披露したことが申楽の起源
⑵ 仏在所(天竺や中国)も重要である。釈尊が説法しているのを外道たちが踊り騒いで邪魔するが 、高弟の阿難、舎利弗、富楼那が外道の気を逸らすべく演じた「六十六番の物まね」が天竺申楽の起源である

⑶ 秦の河勝が上宮王子(聖徳太子)に命じられて「六十六番の面」を用いて「六十六の物まね」を神代の神楽にちなんで太子が「申楽」と名付けた
⑷ 村上天皇の御代に宮中で申楽が演じられている

⑸ 「南都興福寺の維摩會に、講堂にて法味を行ひ給ふ時節、食堂にて舞延年あり」「大和國春日興福寺神事行ひとは、二月二日、同五日、宮寺において、四座の申樂、一年中の御神事始めなり。天下泰平の御祈祷なり。」

参考URL:銕仙会 研究十二月往来382、宮本圭造、『風姿花伝』第四神儀篇の申楽起源説の背景——根本枝葉花実説との関係をめぐって——http://www.tessen.org/archive/files/2020/03/382.pdf

長々と江戸時代の「式楽としての能楽」が生み出してきたものについて説明いたしました。
ご理解いただきたかったのは「能楽が必須教養であったことを通じて、共通する歴史観を武士たちが持っていた」ということです。
ちょうどサラリーマンがゴルフをすることで、共通マナーを身に着けたようなものと思います。

 

江戸の基礎教養はなかなかに文化芸術的で素晴らしいものであったように思います。
なぜなら、かれらは聖徳太子について学ぶ機会もあったからです。
特に徳川幕府の人々は聖徳太子だけでなく、山背大兄王も含めた生き方についても学んでいた可能性は否定できないでしょう。

 

徳川慶喜の潔さは聖徳太子のご子息・山背大兄王の「捨身」に似ています。
内戦に直面し、自らの進退を決することをもって、国内を戦乱に導かない、そういう潔さを見ることができます。

山背大兄王の生き方について次回は考えてみたいと思います。

 

[4] 「奈良SDGs学び旅」が、環境教育・ESD実践動画100選に選ばれました。
奈良新しい学び旅推進協議会が提供する「奈良SDGs学び旅」が、環境省が主催する「環境教育・ESD実践動画100選~始めよう!広げよう!学びの取組~」に、選ばれました。

 

環境教育・ESD実践動画100選とは
持続可能な社会を実現するためには、現代社会における様々な問題を、自らの問題として主体的に捉え、取り組むことが求められます。そのような問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらす社会づくりを目指して行われる教育が、環境教育・ESDであり、その実践を社会に広げていくことが重要です。

 

【HP】
環境教育・ESD実践動画100選 | 環境省 (env.go.jp)

【動画】
環境教育・ESD実践動画100選 #68 奈良新しい学び旅推進協議会 - YouTube

 

[5]お知らせ
学び旅学級新聞の感想を募集しています!
実行委員長のコラムや学び旅事務局の活動について、皆様のお声をお聞かせください。
メッセージは、下記メールアドレスにて受け付けております。
皆様のご応募、お待ちしております。
【応募先】manabi-jimukyoku@kirsite.com

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配信:奈良新しい学び旅推進協議会・事務局(公益社団法人ソーシャル・サイエンス・ラボ内)
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