第27号 2023/10/3 発行
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◆目次
[1] 奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 26
[3] 実行委員長コラム
[4] お知らせ
[1]奈良SDGs学び旅 問合せ報告/実施報告
問合せ報告
実施日 | 地域 | 区分 | 人数 |
2024年10月7日 | 東京都 | 中学校 | 114 |
2025年11月2日 | 栃木県 | 高等学校 | 280 |
2024年9月6日 | 石川県 | 中学校 | 61 |
2025年10月30日 | 東京都 | 中学校 | 226 |
2024年10月23日 | 広島県 | 中学校 | 159 |
実施報告
実施日 | 地域 | 区分 | 内容 | 人数 |
2023年9月29日 | 兵庫県 | 中学校 | SDGs講義+FW | 192 |
[2] はばたけ ルリセンチ No. 26
[3]実行委員長コラム
宮大工と行く奈良の古寺 2
「千年の寿命の木を使うなら千年は持つ建物を造るのが自分たちの務めだ」(西岡常一)
前回、宮大工の小川棟梁の著作『宮大工と歩く 奈良の古寺』の冒頭にあった、法隆寺の大野玄妙管長との対談に触れました。これを先にご紹介してこそ、これからお話しする小川様の言葉が心に沁みてくるのではないかと思ったからでした。小川様は著作の中で、世界最古の木造建造物である法隆寺が
千三百年も創建当時の姿を残しながらもってきたのは、大工の技術がりっぱだからという人がいますけれども、それでしたらもっと沢山の建造物が残っているはずなんです。(中略)技術だけじゃなく、法隆寺は平和をいちばんに重んじたから、荒らされなくて持ったんでしょうな。
大工技術よりも上のなにかの思想がなかったら、たいがい荒らされています。
と技術よりも、もっと重要なこととして法隆寺創建の「哲学」「理念」の存在をしっかりと踏まえてお話しされています。
そのことを通じて「言葉だけ」では決して伝わらないものが、存在することの真実と重みを語っておられます。建設や修理に現場でかかわったからこそ分かる実感です。
技術はこの建物(法隆寺)が残っている限り、それを読み取ることができる人が現れます、絶対に。昭和の大修理に西岡棟梁はじめ現場の人たちが、飛鳥人の考えを読み取ったから、昭和にこの復元ができているわけでしょう。ですから大工仕事をする人間としては、この技術は甦ると思います。ものが残っていれば。
昔は設計士やデザイナーという仕事はなかったんです。今は違います。デザイナーは道具を握ったことがない人が多いし、材の重さを知らない。(中略)
ヒノキは切り倒してから二百年ぐらいは強さが増し、それから段々弱まっていくという不思議な強さを持った木です。(中略)
建物の修理で、千年前の古材を削りますと艶を保った木肌が現れ、年代に耐えたいい香りがします。木が材になってもその性質を残して、生きているんです。
西岡常一棟梁は「千年の寿命の木を使うなら千年は持つ建物を造るのが自分たちの務めだ」と言いました。
これはヒノキだからの話で、他の木では無理です。木の癖をいかし、生えていた方位のままに使うなど、千三百年前の工人達はヒノキの使い方を熟知していたのです。
千年を超える建物に刻まれた智慧を読み解く力をもつ現代の棟梁は、時空を超えて先人の智慧をまなぶ対話をされているということです。
小川棟梁のお話からは、法隆寺の宮大工・西岡常一棟梁の下での修業の経験から、宮大工の技能と智慧が口伝されていることが分かります。
それは「仏教」とは異なる智慧であり、そのことを大野玄妙管長も理解されていて、金堂の前、五重塔の前、夢殿の前の礼拝席よりも中には僧侶も入らない。
大工さんだけしか入らない、というお話をされています。そこには畏敬の念が含まれているのです。
この書籍は、その宮大工の智慧の塊でもあります。
智慧は一休さんの頓智問答のような時もあります。
例えば、現在の薬師寺は壮大な伽藍に復興しましたが、当初高田好胤管主は金堂だけと考えておられました。それが西塔が完成するころに、高田管主のところに来て
「いつもスズメが鳴いて、ちゅんちゅん来よんのや。西塔の次は中門ですかな」中門の次には「カラスがわしにねかぁかぁと鳴きますのや、それが次は回廊やね、回廊やね」と聞こえますねん。
このようなユーモラスな会話と共に、壮大な伽藍の復興に尽力された大勢の方々の志と熱意が伝わってまいります。
この智慧は単に強い構造物を作ることだけを目指しているわけではありません。
人々がその建造物を後世に遺そうと思える美しさも必要であることが伝わってきます。
共感と感動を呼び起こす力(付加価値力)です。
それは法隆寺の「美しい東の回廊」で書かれている文章からわかります。
(飛鳥時代の工人が叉首を選んだことについて)美観をかねて、かつ重量を支える。
それで叉首を採用している。「人」の字の持つやわらかな曲線を生かしているんです。
これをつくった人は、構造だけを重視したんじゃなくて、美しさも知っていたということです。
感覚のいい人がいたんですね。その人はここ(回廊)に立ったら、こういうふうに柱が並ぶ、その美しい姿が見えたんだと思います。
この場所はいいですね。飛鳥人の最高の美意識だと思います。
皆様も小川棟梁の著作と共にぜひ奈良の古寺の伽藍を歩いてみてください。
飛鳥人との交感が始まる第一歩かもしれません。
[4]お知らせ
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