第2号 2022/8/30 発行
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[1] 奈良SDGs学び旅実施報告/問合せ報告
[2] はばたけ ルリセンチ No. 01
[3] 実行委員長コラム
[4] 奈良SDGs学び旅ガイド育成プログラム はじまります!
[5] イベント報告
[6] お知らせ
[1]奈良SDGs学び旅実施報告/問合せ報告
問合せ報告
実施日 | 地域 | 区分 | 人数 |
2022/10/19 | 鹿児島県 | 中学校 | 88名 |
2023/5/10 | 静岡県 | 中学校 | 85 |
2023/10/24 | 広島県 | 中学校 | 35 |
2023/11/29 | 石川県 | 中学校 | 230 |
2024/4/23 | 石川県 | 中学校 | 220 |
2024/4/26 | 石川県 | 中学校 | 100 |
学び旅の実施報告
実施日 | 地域 | 区分 | 内容 | 人数 |
2022/8/24 | 鹿児島県 | 高等学校 | SDGs講義
フィールドワーク |
27名 |
2022/8/29 | 岡山県 | 中学校 | SDGs講義
フィールドワーク |
88名 |
[3]実行委員長コラム
まず第一回目は『ESDの授業づくり』という本の紹介を通じて、この事業の果たす役割について簡単にご案内をしたいと思います。
『ESDの授業づくり~こんな実践が知りたかった!!』/SDGs不東会×銀杏倶楽部 (著), 京阪奈情報教育出版, 2021年
こちらの本は長年の奈良教育大学の取組の成果をまとめたものです。この本にふれていただくことによって、
①SDGsとは何なのか
②ESDとSDGsの関係
③次世代を育成することの重要性
④持続維持可能な開発に必要な考え方
など、ESDの内容がより明確に理解できると思います。
さらに、この本を通じて「奈良SDGs学び旅」についてもご理解いただけるのではないかと考えました。
ここでは、本書の及川幸彦先生のパート『地球・地域課題を踏まえて多角的に取り組むSDGs』と中澤静男先生のパート『歴史文化遺産が語る持続可能な社会づくりの必須条件』を中心にご紹介すると共に、委員長・川井の事業意義についての補足説明を行います。
興味を持たれた方はぜひ本を買って読んでくださいね!
◆グローカルな視点~SDGsの達成と教育の果たす役割~
『地球・地域課題を踏まえて多角的に取り組むSDGs』
東京大学大学院教育学研究科付属海洋教育センター主幹研究員/銀杏倶楽部代表 及川幸彦
国連はSDGsとして17のゴールを設定しました。
そのゴール設定が必要な世界の現状を説明するために、及川先生は次の4項目を整理されています。
①暴力や差別
世界各地に広がる紛争と暴力により、特にその中でも最も弱い立場にある子供たちが危機に直面しています。戦火にさらされるだけでなく、移動中での暴力や人身売買などの被害にも遭いやすいのが子供と女性です。
SDGs16「平和と公正を全ての人に」というテーマはロシアによるウクライナ侵攻を考えると他人事と思えないですよね。
②貧困と不平等
極度の貧困状態下にある7億1000万人のうち、子供は3億5600万人。コロナ禍の混乱がこの状況に拍車をかけています。この子供と貧困の話は、日本でも他人事ではありません。相対的貧困の中で子供の貧困率が拡大しているのです。
そして日本の最大の課題はSDGs5ジェンダーギャップです。ジェンダーギャップ指数は120/156位で、先進国はもちろん、途上国と比較しても世界の中で極めて低いレベルにあります。
③気候変動と災害
産業革命前と比較すると、現在に至るまでの人類の経済・社会活動での化石燃料消費に起因する二酸化炭素等の温室効果ガスの排出により、地球の平均気温は約1.2℃上昇しています。温暖化の影響で森林火災や大規模な水害・大型台風など自然災害が多発する傾向にあります。
これは皆さんも肌で感じておられるのではないでしょうか。
④環境問題
日本の沿岸部でも海洋ごみの問題がクローズアップされていますが、近年最も注目されているのは、海洋プラスチックの問題です。ペットボトル等がマイクロプラスチックとなり食物連鎖の中で海洋生物の体内に取り込まれ、最後は人間の食事の中に紛れ込んでくるのです。
このように一つ一つのグローバルな問題は、個人の生活につながっています。一人一人が世界の課題について理解する=グローバルな視点を持つこと、そして課題解決に向けてコツコツと解決に取り組みむこと=ローカルな活動をすることが大切になってきます。
そして、そのようにグローバルな視点を持ち、課題解決できる人材の育成、つまり教育が重要なのです。
◆歴史文化遺産が語る持続可能な社会づくり
『歴史文化遺産が語る持続可能な社会づくりの必須条件』
奈良教育大学 准教授/SDGs不東会代表 中澤静男
観光で奈良を訪れる人々に私たちが提供できるものは、これまでは東大寺や春日大社の鹿など歴史と文化の紹介が中心でした。しかし、奈良の歴史は古いままではありません。例えば東大寺を振り返りますと火災による灰燼の危機から何度も復興しています。
この歴史のダイナミズムをSDGsの視点で読み解くことは、日本の歴史を国際的な視点で見つめなおすことなのです。
奈良の歴史の中からグローバルな視点と地域の営み(グローカル)を実際に学び、それが日本社会にどのような影響を与え、価値をもたらしたかを学べるのです。
実行委員長 川井の見解<歴史の捉え方を転換する>
歴史といえば、時間軸、縦軸にそって時代を区切り、主に政治的にないし軍事・紛争、国家の興亡や革命の展開などをたどる内容が殆どです。それらの出来事を繋ぐものとして、経済や文化の状況が参照されるといったものでしかありません。日本でも欧米でもたいして変わりありませんでした。
ところが、20世紀中頃から西洋史に新しい学派「アナール」が生まれて、世界の歴史の捉え方は、民衆の社会的・文化的営み、経済成長などに注目する方向へ大きく変化してきています。そしてブローデルによって「長期持続」と「世界時間」が出現しました。
それは、国際社会に大きなインパクトを与えました。このような世界の歴史の捉え方の変化については、次回以降詳しくお話しする予定です。
この視点で日本史を捉え直そうとしている人は、まだごく少数です。持続可能な開発の視点で、歴史を見直すこと、つまり国連を起点としたグローバルな視点で日本の歴史の流れを読み解き、歴史と対話すること、これは日本史の国際化ということに繋がります。これを通じてこそ、世界史に日本史を位置づけして理解できるようになるでしょう。
奈良教育大学の中澤静男先生は日本で最初にこの研究を始められました。「奈良SDGs旅」に深くかかわっていくほどに「凄いなぁ」と感じています。
日本の持続性を世界に発信できる本当に素晴らしいグローバルな視点だと感動します。ある意味、修学旅行という既成商品のイノベーションでもあります。
まず、次世代を背負う日本中の若者たちにこの視点で、日本をとらえて欲しい。そして世界に対して、日本の歴史を説明できるようになって欲しい、と思います。
[4]奈良SDGs学び旅ガイド育成プログラム はじまります!
奈良教育大学・奈良女子大の学生を中心に希望者を募集し、次世代のガイドを育成する取組です。
全6回の講習を行い、2023年4月からのガイド活動開始を目指します。
【プログラム名】第1回 奈良SDGs学び旅ガイド育成プログラム
【日 程】2022年9月1日(木) 13:00~16:00
【会 場】奈良教育大学
【講 師】奈良教育大学 中澤静男教授/大西浩明特任准教授
【参加者】奈良教育大学生 1年生3名 2年生1名 3年生1名 計5名
【内 容】1コマ40分の座学で、SDGsと生徒の気づきを引き出す手法を学びます。
・SDGsの基本理解
・奈良で学ぶSDGs
・主体的な学びを引き出す手法
[5]イベント報告
8月6日に続き、奈良公園・飛火野で奈良公園SDGs自然学校の試験販売を実施しました。今回は「ルリセンチコガネ」だけでなく、珍しい「ゴホンダイコクコガネ」も見つかり、参加した小学生の男の子も笑みを浮かべていました。
【日 程】2022年8月20日(土) 8:00~10:30
【会 場】奈良公園・飛火野
【講 師】ならまち糞虫館 館長 中村圭一氏
【参加者】1組 2名 内:保護者1名 小学5年生1名
【料 金】大人/子供 1,200円
【プログラム】
・中村館長のフン虫探しフィールドワーク
・奈良公園での糞虫の役割をSDGsの視点から解説
ゴホンダイコクコガネ
[6]お知らせ
学び旅学級新聞の感想を募集しています!
実行委員長のコラムや学び旅事務局の活動について、皆様のお声をお聞かせください。
メッセージは、下記メールアドレスにて受け付けております。
皆様のご応募、お待ちしております。
【応募先】manabi-jimukyoku@kirsite.com
学び旅学級新聞へ掲載する記事募集中!
協議会委員へ告知・共有希望の事柄がありましたら、原稿・写真と共に事務局までお知らせください。
無料で記事として掲載し、配信いたします。
配信時期についてもお問合せください。
【連絡先】manabi-jimukyoku@kirsite.com
配信:奈良新しい学び旅推進協議会・事務局(公益社団法人ソーシャル・サイエンス・ラボ内)
TEL:0742-20-7807 平日9:00~18:00(年末年始を除く)
住所:〒630-8305 奈良県奈良市東紀寺町2-10-1
Web:https://nara-manabitabi.com/